親知らずは知らず知らずのうちに欠けるから気をつけろ
最近のわたし
半年も何をしていたんだ、と訊かれれば
「いえ特には……夏にオーシャンズ8を観てケイト様にバチハマりしたくらいしか……」
とか答えると思います。
突然一端の社会人になって、突然引越しをして、コミュニティが変わって、
知らない間に半年以上が過ぎ去っていたのです。
しかし社会人というのは貧乏多趣味な学生よりは時間にもお金にも余裕があるようで、
傷心していたのもあってたくさん旅に出ました。
この話はまた別の機会にしたいと思います。
この物語はえげつない水菜から始まる。
つい先日も、私は日課であるキッチンドリンカー(飲酒しながらお料理しちゃう人)を実践していたわけだが、寒さが厳しくなってきたため一人、鍋を作ることにした。
上記の鍋キューブは激しく美味しい「おじや」が作れてしまうのでおすすめ。
もう忘れてしまったが、その日の具は豚肉とか水菜とかだったと思う。
ガツガツと食べ進めていったわけだが、終盤に差し掛かろうかというとき、左上の奥歯に違和感。
尋常ではない量の(あるいは太さの)水菜が俺の奥歯にビトゥイーンしていたのだ。
汚い話だが爪楊枝やらでなんとかほじくりだし、事なきを得た、かに思えた。
が、ほじくりだした水菜を飲み込んだ時、何か固い、砂利のようなものを飲んだ気がしたのだ。
ただ口腔内に痛みなどはなく、その日は普通に歯を磨いて、寝た。
鹿児島にて
実は母親と鹿児島旅行に出かけていた小生。
そこで自分の奥歯がヤバいことに気付いてしまったのだ。
……悲劇は再び、「鍋」の中に潜んでいた。
薩摩黒豚をしゃぶしゃぶにして食らいたいという母のために、駅前のしゃぶしゃぶ屋で食事をしていた時のこと。
今度は肉塊となった豚肉が左上顎を攻めてきたのだ。
必死に舌で掻き出そうとする小生。
すると再び、小石のようなものと肉塊がほろりと、口腔に転がった。
小生は一瞬で悟った。「これは歯である」と。
(そして今、一人称を小生にするとわりと筆が進む、ということも悟った。)
その晩からというもの、歯磨きの苦行さたるや。
まるで自傷行為かに思える歯磨きに取り掛かるには、「はみがき上手かな」の歌を2回リピートしなくてはならないほどだった。
5年ぶりの歯医者へ
関西某所に帰宅した小生は保険証と万札(リアル)だけを握りしめて、夜の歯医者に駆け込んだ。
思えば5年間歯医者に行っていない。
これといった痛みはないが、虫歯はあるんだろうなくらいに思っていたわけである。
そもそも歯医者に素敵な思い出がない(ほとんどの人間がそう)ため敬遠していたのだが、このままでは夜も眠れないと判断し、以下のような表情で突撃した次第である。
小生「た、たすけてくだひぃ」
先生「もう終わりなんだけどねぇ、奥歯が割れてる子を放ってはおけないよねぇ」
小生「で、でふよねぇ……!」
結局、頭にイソギンチャクを乗せているのかと思うような髪型の先生に、鏡やら棒やらを口に突っ込まれてわかったのは、割れているのは左上の親知らずであるということだった。
通常いい感じの歯というのは下の図のように、歯茎にしっかり埋まっていて、
端っこにエナメル質(水色のとこ)があって、真ん中に神経(紫のとこ)があるわけだが、
小生の親知らずはもうこんな感じ。
とりあえず神経がむき出しの状態で、歯の縦半分がきれいになくなっている状態であった。
検査というか状態確認のために神経に突起物を突っ込まれ激しめのエロ同人のような声をあげてしまったのは、お姉さんとボクだけのヒミツだゾ♡
先生「じゃ、抜いときましょう」
小生「いま、これからですか?」
先生「だってー。もう復元もできないし、早晩ぬくことになるよー」
5年ぶりの歯医者、10年以上ぶりの「歯が抜ける(抜く)」という体験。
――オラ、これからどうなっちゃうの――?
抜歯の手順
①麻酔
いろんな方向から歯茎に針をぶっさし、変な味のする液体を流し込まれる。
マジでどこ触っても痛くない。無敵。
②とにかく引っ張る
途中器具の引っ掛かりを作るため、削られる。
あの嫌な音がするやつである。
もはや歯や歯茎に痛みはないが、口を極限まで開くため顎のほうが痛くなってくる。
③抜ける
「ッヌンッ!」て感じで抜ける。
すごく血が出るが、すぐガーゼを噛むのであんまり気にならなかった。
抜けた歯でいろんな解説をされた。
「これが神経ね、これが割れてた表面でね、ハハッすごいね君、ね、」みたいに(恥)(イソギンチャク先生はたぶんS……照)
④薬
血が止まったら、そそくさと追い出された。
全部で30分もかかっていなかった。
あとはバイキンマンの攻撃を受けても大丈夫なように抗生物質を飲んで、もしもの時のための痛みどめをもらって終わった。
総括
先生によると、小生は今回、上の歯だったからマシなほうだという。
ッヌンッ!て抜けたし。
今思えば親知らずの有名な顔の腫れもなかったので、そういうことなんだと思う。
抜歯して1日たったが、いまも歯茎はブヨブヨしているものの、やわらかめであれば普通の食事がとれている状態である。
イソギンチャク先生には感謝してもしきれないが、これからの治療(少し虫歯があった)ですぐ「抜きましょう」と言われないか、ビクビクしている。
皆も定期的に歯医者さんに行きましょう。
このイソギンチャク先生ならいじめられてもいいかな、とビビっと来たので、小生はしばらくイソギンチャクプレイを楽しみに、週1で通うことになると思います。
完